【コロナ】企業が取り組まなければならない安全配慮義務とは?

企業防災

企業が行うべき防災対策や事業継続のポイントとは?

「災害大国日本」ですが、地震はいつ発生するかわかりません。

それに対し、台風や大雨、大雪は事前に天気予報で予測をすることができます。

そのため、災害が発生する前に事前にしっかり準備をすることが重要になってきます。

そのような時、企業では2つの災害対策が求められます。

①従業員や顧客の安全確保
②重要業務の継続

そのために平常時においてすべきことは何か、また災害時に無理な出勤をした場合、

どのようなリスクがあるのか、企業が取り組むべき災害対策についてまとめます。

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1.企業の防災対策が重要なワケとは?

企業には災害発生時にスタッフや顧客の安全を考えて対応しなければならないという責任があります。

これは、単純に「責任があるから」ではありません。

 

<民法 第1条第2項>
権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
<労働契約法 第5条 平成20年3月施行>
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定めています。
<労働安全衛生法 第3条第1項 事業者等の責務>
事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。

2.安全配慮義務とは?

スタッフを雇用する店長や企業側には「安全配慮義務」というものがあり、労働契約法に明記されています。

このため、業務上で災害防止の措置をとらなかったことにより従業員が被害を受けた場合に、

企業は安全配慮義務違反と判断され、従業員に対する損害賠償責任が生じます。

これは、「スタッフが安全で健康に快適な環境で働くことができる配慮しなければならない」というものです。

この義務の範囲はとても広いものです。台風や大雪などの外出することが難しい災害時は、

出勤をすることでスタッフの生命に危険が及ぶ可能性も十分に考えられるのです。

企業側はスタッフの安全を考慮し、自宅待機や出勤時間の変更をおこない、安全を配慮する責任があります。

そのため、いつ災害が発生してもアルバイトスタッフの安全を配慮した対応ができるように、事前準備が重要となります。

3.安全配慮義務違反となる3つのポイント

安全配慮義務に違反したと認定されるかどうかは、次の3点がポイントとなります。

■予見可能性(ケガなどの発生が予測された・予測できたと認定できた)
■結果回避性(ケガなどを回避する方法があったのに実行しなかった)
■因果関係

この3点が認められた場合に、安全配慮義務に違反したとして賠償を命じられる可能性が高くなってしまいます。

安全配慮義務に関する訴訟では、損害賠償は高額となることが多く、

敗訴しメディアで報じられることにより企業の社会的信用失墜行為となってしまいます。

4.実際の例

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、宮城県女川町にあった銀行員・派遣社員が、

銀行の災害対応プランに従い、約10mの高さがあった銀行の屋上に避難したところ、20mあまりの津波が襲来し、

スタッフ等12名が死亡または行方不明となってしまいました。

このうち死者3名の遺族から銀行に対して損害賠償を求める訴訟が提起されたという例があります。

また、災害時の企業の果たす役割として、業務を継続するために事業継続計画(BCP)を策定することも重要です。

災害時に復旧が遅れると、企業の存続が難しくなってしまうので、日頃からの心がけや対策が必要です。

 

七十七銀行津波訴訟で遺族敗訴企業の責任はどこまで問えるのか?
勤務中の災害時、従業員の命は企業にどこまで責任を持ってもらえるのか。東日本大震災で七十七銀行女川支店の従業員が避難先の屋上から大津波に流され、12人が死亡・行方不明となった問題で、遺族が損害賠償を求めた控訴審が棄却された。

 

遺族と教習所和解 山元津波訴訟 | 東日本大震災 | 福島民報

 

日和幼稚園訴訟「異例の前文」に込められた裁判所の真のメッセージ(中澤幸介) - エキスパート - Yahoo!ニュース
東日本大震災で、宮城県石巻市の私立日和幼稚園の園児5人を乗せた送迎バスが津波に巻き込まれ犠牲となったのは、園側が安全配慮を怠ったためだとして、遺族が幼稚園の運営法人「長谷川学院」と当時の園長に損害賠償

 

5.新型コロナウイルスも該当!?

コロナウイルスは「職業病」として労災認定されることがあるのです。

伝染病などの感染症は、業務に起因して発症した場合は労働災害と認められます。

感染が避けられる可能性を考慮し、時差通勤、テレワーク、出張や会食の削減など、可能な限り対応することが求められてきます。

安易に「感染経路不明だから業務起因性がない!」などと決め付けることは危険です!

そして、自社のスタッフだけではなく、業務に関わる人であれば、下請従業員や派遣社員なども該当するのです。

6.まとめ

企業にとって災害対策は事業を継続させるために必要不可欠です。

さらに事業を継続させるためにはスタッフや顧客を守ることが最優先となります。

常日頃から防災対策が十分ではないという印象を持たれることは、企業にとって大きなイメージダウンとなります。

現状の災害対策は本当に意味のあるものになっているでしょうか。

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