72時間の壁とは!?
災害のニュースなどで72時間の壁という言葉を聞いたことはありませんか?
人命救助は災害が発生してから72時間が勝負と言われていますが、72時間の根拠が分からないという方も少なからずいるはずです。
そんな方のために今回は72時間の壁について解説していきます!
災害時に安全を確保するための方法を参考にしてね!
1.災害時の「72時間の壁」とは
72時間の壁とは人命救助のタイムリミットのことで、被災後の3日を過ぎると生存率が著しく低下すると言われています。
72時間の壁の根拠になっているのは、阪神・淡路大震災の生存率のデータと人間が水を飲まずに過ごせる限界の日数の2点です。
阪神・淡路大震災の死因や生存率をまとめた死者を減らすためにのデータによると、震災当日の1月17日の救出率は75%でしたが、翌日は24%、3日目が15%、4日目では5%と救出率は大きく低下しています。
また一般的に人間が水を飲まずに過ごせる限界が72時間だと言われており、これらの2点が根拠となって72時間の壁という言葉が生まれました。
災害が発生してから72時間以内であれば安全に救助できる傾向があるため、人命救助では72時間以内の負傷者の救助を目指しています。
2.3日分の備蓄
水・電気・ガスなどのライフラインの復旧や支援物資の到着までには一般的に3日程度かかると言われています。
災害発生後の3日間(72時間)は自分の力で耐えなくてはならず、備蓄品の用意が必要不可欠です。
大規模な災害が発生した場合も考慮して3日分を最低限とし、余裕を持って1週間分の非常食や防災グッズを揃えておくと良いですね。
また東日本大震災をきっかけに内閣府が発表した「東京都帰宅困難者対策条例」では、以下のように定められています。
「事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の三日分の食糧等の備蓄についての努力義務を課します。」
この条例は安全が確保できない状態で移動することによる負傷や救助活動の妨げを防ぐという目的があり、
社内が安全であればそこに最長で3日間は留まる必要があります。
この条例の対象となるのは正規・非正規を問わず同じ事業所で働く全従業員であり、全従業員分の非常食などの防災グッズを確保しておくのがベストです。
この条例で書かれている努力義務とは、「〜するように努めなければならない」という意味であり、
この条例に違反したからといって特に罰則を受けることはありません。
防災グッズの確保や災害対策を一切行わないなど安全確保を怠っていたことが原因で従業員に被害を与えてしまった場合、安全配慮義務違反として法的責任を問われ従業員に損害賠償を支払うことになります。
「労働契約法」の第5条では以下のように安全配慮義務が企業に課せられています。
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
この法のもと、従業員のために防災グッズ準備したり、最低限の災害対策を行なっておきましょう。
3.被災後の72時間を生き残るためにできる4つの対策
その①:防災マニュアルを作成しておく
災害に対して何も準備していないまま災害などのトラブルが発生すると、冷静な判断ができず迅速に避難できないばかりか、二次災害を招くおそれがあります。
そのような事態を防ぐために事業や従業員の安全を確保する防災マニュアルを策定しておきましょう。
その②:定期的に防災訓練を実施する
前述した防災マニュアルを従業員に浸透させるためには、定期的な防災訓練の実施が欠かせません。
策定した防災マニュアルの内容に沿った防災訓練を行ない、防災マニュアルが機能しているのか確かめ、改善していけば、より完成度の高い防災マニュアルに近づいていくはずです。
もちろん防災訓練はすでに行なっているという企業は多いですが、同じ内容の防災訓練を繰り返していると想定外の事態が発生した際に対応できなくなってしまうので、防災訓練のシナリオは訓練を行う度に変更しましょう。
その③:防災グッズなどを備蓄しておく
<防災グッズの例>
◆飲料水
◆非常食
◆簡易トイレ
◆救急用品
◆毛布やブランケット
◆防災ヘルメット
その④:ハザードマップで避難場所を確認する
災害発生時に迅速に避難できるように自治体や国土交通省などが発表しているハザードマップを見ておきましょう。
まとめ
今回の重要ポイントは、以下の3点です。
◆72時間の壁とは、人命救助におけるタイムリミット
◆72時間の壁を乗り越えるために備蓄品を揃える
◆安全確保を怠ると、安全配慮義務違反となる
この記事を参考にして、災害後の72時間を安全に過ごせるようにしよう!
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