【災害医療】災害時に医師を派遣するJMATとは?

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JMATとは?日本医師会災害医療チーム

災害対応において、医療機関の体制をどう整えるのかは重要です。

災害に備えて災害拠点病院などの医療機関を中心にBCPの作成が指定されており、災害によってリソースが不足している状態でいかに大量の負傷者の対応をするのか整備が進められていますが、大規模災害では被災地以外からの医療部隊の派遣が必要になります。
日本では被災地に医療部隊を派遣するためにDMAT(災害派遣医療チーム)JMAT(日本医師会災害医療チーム)がありますが、JMATは日本医師会が被災地に派遣する医療チームとして注目されています。

今回はJMATについて解説していくよ!

DMATじゃないんやな。

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1.JMATとは?

そもそもJMAT(日本医師会災害医療チーム)とは、被災地に対して日本医師会が派遣する災害医療チームのことです。

JMATとはJapan Medical Association Teamの頭文字をとった略語になります。
発災から3日後くらいに被災地に入り、避難所や救護所において医療や健康管理の側面から活動支援を行うことを目的としています。

JMATはアメリカ医師会のNDLS(National Disaster Life Support)を参考にして成り立ち、東日本大震災を始め、地球史上最大(令和元年時点)と呼ばれた「台風19号」による被災時にも、JMATが派遣されました。

一般的にJMATは、医師1人、看護職員2人、事務職員(運転手)1人でチームを構成して医療支援を行い、派遣期間は3日間〜7日間が目途となっています。

JMATとは:Wikipedia

2.JMATの活動内容

JMAT(日本医師会災害医療チーム)の具体的な活動内容としては、避難所や救護所における医療、被災地の病院や診療所における日常診療への支援などが代表的です。
この他にも、避難所の状況把握と改善、在宅患者の医療、健康管理、地元医師会を中心とした連絡会の立ち上げなども行っており、被災地の医療体制が整備されるまでの間の医療体制を整えるために大きな役割を果たしています。

【JMATに与えられている役割の一例】
・被災地における医療・健康管理の支援
・感染症対策を始めとする公衆衛生対策
・派遣先エリアにおける医療ニーズの把握
・医療支援が不足しているエリアの把握・巡回診療
・医療関係者間の連絡会の設置支援
・患者移送・被災地医療機関への引き継ぎ

3.JMATとDMATの違い

DMAT(災害派遣医療チーム)は、災害発生から48時間以内に現場対応をする、専門的なトレーニングを受けた医療チームです。

厚生労働省が組織したDMAT、および都道府県が発足したDMATが存在しており、それぞれ被災時の速やかな災害支援を目的として派遣されます。

DMATとしてチームに所属する人員は、常に派遣医療チームとして活動しているわけでなく、普段は医師や看護師として働いている医療従事者です。

ただし、DMATの指定医療機関に勤務し、チーム構成員の候補として抜擢されなければ、DMATの養成研修は受けられません。

JMATとDMATは異なるタイミングで派遣されることとなっており、DMATが発災直後に派遣される一方、JMATはDMATのあとを引き継ぐ形で現地活動を行います。

DMAT(災害派遣医療チーム)は発災直後から3日間ほどの、災害が発生した直後の医療支援を行っているのに対して、JMATはこのDMATを引き継ぐ形で発災から3日後に被災地に入って、その後の医療を支援していきます。被災地の避難所や救護所、その周辺エリアに対する素早い状況把握と、医療面に関する全般的な支援がJMATのミッションです。

参考:日本医師会 平成30年7月豪雨災害 JMAT派遣

4.JMAT Ⅱとは

JMATはDMATを継いで医療活動を行い、被災地医療の回復に努めます。

上記の画像のうち「JMATの活動」を示す水色部分を参照することで、各医療チームの関係性がイメージできるはずです。

出典:日本医師会  JMAT要綱

こうした状況下での活動を担うJMATは、被災エリアの医療機関が復旧し、通常通りの医療活動が再開されるようになった段階で撤収します。

なお、JMATの初出動となった東日本大震災の際は、地震以外の被害も大きかったことから、JMATを引き継ぐ形で「JMATⅡ」が動員されました。

日医総研が公表する資料によれば、JMATⅡはつぎのような分野での活躍が報告されています。

・東日本大震災におけるJMATⅡの活動
・現地医師の負担を軽減させるための診療支援
・ストレスレベルが高い患者のメンタルケア
・孤独死防止のため仮設住宅・避難所を巡回
・廃業した小児科医院に代わり乳幼児・学校検診

参考:日医総研  JMAT以降の被災地への継続的な医療支援のあり方に関する研究

負傷者の処置、患者移送などの直接的な医療活動を求められるJMATと比較して、現場ではメンタルケアが必要とされるケースが多かったようです。

これは、東日本大震災が類を見ない大きな災害となり、地震だけでなく津波被害を引き起こしたことや、原子力発電所の事故が被災地の住民を不安にさせていたことに起因すると考えられています。

5.JMATの過去の派遣事例

「東日本大震災におけるJMAT活動について」によれば、東日本大震災が発生から4ヶ月ほど経過した平成23年7月の段階で、JMATは約1,400チームの派遣が確認されています。

出典:厚生労働省  東日本大震災におけるJMAT活動について

6.JMATのチーム構成員

東日本大震災で多大な実績を残したJMATは、以下のような医療従事者をもとに編成されます。

JMATのチームに抜擢される人員の一例
医師 看護職員
事務職員 薬剤師
理学療法士 作業療法士
臨床検査技師 救急救命士
介護・福祉関係者 栄養士

発災から4ヶ月の段階で、医師2,200名超を始めとする計6,000人以上の医療従事者が、チームを編成して現地での医療活動に尽力しました。

7.JMAT派遣の条件

JMATの派遣は「被災地の都道府県医師会の要請」を受けてから発動することを原則としています。

また、支援要請をするエリアが単一であった場合、その都道府県医師会が属している医師会ブロック、または近接する医師会ブロックからJMATが派遣されます。

さらに、先発チームと後継チームに分担することで、時系列的な空白を回避しコーディネイト機能を損ねないよう徹底して派遣の条件が定められています。

JMATは出動の機会が少ないだけに、細かい部分の整備が行き届いておらず、東日本大震災の現場ではトラブルも発生していたことが報告されています。

JMATを引き継いだJMATⅡのケースでも、移動距離や費用負担などの経済的課題が生じたことが確認されており、いずれの医療チームも活躍の裏側で多々問題を抱えているようです。

なるほどな〜。今後も大災害が起きた時は。

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