高規格堤防とは?荒川や江戸川の水害を防ぐために…
大雨が降ると河川の堤防が決壊して洪水になることがあります。
「平成27年9月の関東・東北豪雨」による鬼怒川の堤防が決壊した災害が記憶に新しいのではないでしょうか。
このような洪水を防ぐために堤防の整備が重要になってきます。
堤防は河川を氾濫させないことを目的として土砂などを盛って作られたものですが、一般的に堤防の整備がしっかりとしていれば洪水になる可能性は低くなります。
この堤防にもいくつかの種類がありますが、より水害に強く、近隣の街を守ることができる堤防として「高規格堤防」があります。
今回は高規格堤防について解説していくよ!
なんやそれ!強そうやな!
1.高規格堤防とは
高規格堤防は、ふつうの堤防と比較して幅の広い堤防(堤防の高さの30倍程度)です。
市街地再開発や区画整理などのまちづくり等と共同で実施することで、安全で快適な空間をつくっています。
そもそも高規格堤防とは何かをひとことで言うと、堤防の高さの30倍の区域の土地の高さを盛り上げて、堤防が洪水や地震の液状化現象によっても壊れないようにしたものです。
文字で説明しても分かりにくいので下の図を見るとわかりますが、通常の堤防に比べて広い範囲に渡り、土地が高くなっているのが分かるかと思います。
(引用:国土交通省)
一般的に治水の基本は水位の低下であり、河道の掘削や堤防の整備が行われますが、大雨などにより計画を上回る水量が河川で発生する可能性は常にあり、超過洪水により堤防の決壊する可能性は捨てきれません。
そのために高規格堤防によって洪水が発生する可能性を低くする、または仮に洪水が発生しても被害が少なくするようにすることが期待されています。
特に大都市で洪水が発生すると被害が甚大になることから、東京・大阪などの5水系6河川(利根川水系利根川・江戸川、荒川、多摩川、淀川、大和川)にて、高規格堤防の計画・整備が進められています。
2.高規格堤防の特徴
高規格堤防は普通の堤防とは違い、水害に強い堤防としていくつかの特徴を持っています。
特徴①:越水に強い
普通の堤防では河川が越水すると、堤防が壊れて一気に水が流れ込み、河川の近隣に大きな被害をもたらすことがあります。
一方で高規格堤防では仮に河川が越水しても、水が斜面を緩やかに流れるために堤防が壊れにくく、被害を最小限に止めることができます。
特徴②:浸透に強い
普通の堤防では堤防に染み込んだ水が構造的に弱い部分から噴出して、そこから堤防が壊れることがありますが、
高規格堤防は堤防に水が染み込んでも壊れる恐れがないので、決壊する可能性を低くすることができます。
特徴③:地震に強い
普通の堤防では地震によって堤防に大きな被害をもたらすことがありますが、高規格堤防は地盤の弱いところは地盤を改良するめに地震に強い堤防を作ることができます。
3.東京と大阪で整備
「人命を守る」ということを最重視し、人口・資産が高密度に集積する首都圏・近畿圏で、 堤防が決壊すると甚大な人的被害が発生する可能性が高いゼロメートル地帯等の5河川 、約120kmに限定して、高規格堤防を整備しています。
東京・大阪では、平常時にも市街地より高いところを流れている河川が多くあります。
洪水時には、さらに水位が高くなり、堤防決壊時には甚大な浸水被害が発生するおそれがあるのです。
4.まとめ
高規格堤防は水害から街を守るために大きな役割を果たし、特に大都市を水害から守るために大きく貢献するのではないかと期待されているのです。
東京も大阪も安心やと思ってたわ〜!
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