人間の身体は電気を通す?
夏になると夕立が来て、雨が降り、雷が発生します。
雷落ちるの怖いけど、落雷による被害ってどんなものだろう…
落雷の電流は人にいろんな損傷を引き起こすんだ!
人の身体は電気を通しやすい性質なので、落雷による電流で体内や皮膚表面にさまざまな損傷を引き起こします。ただし、皮膚表面は、体内に比べると電気抵抗が高いという性質の違いがあります。
1.雷による4つの症状
①心肺停止
雷の大電流が頭部から上半身を流れることで心肺停止になり、ほとんどが即死となります。
その人が死に至るかどうかは、体内を流れる電流の大きさと時間によります。
心停止、呼吸停止が認められた場合でも、心肺蘇生法により一名を取り留めた例が事例があります。
心肺蘇生法の開始は早いほど有効的なのです。
②熱傷(やけど)
受傷者の多くは軽症で、早期に治癒します。
電流の大部分が、体内を損傷するほどの深さに達しないためです。
電流には、低い値の電流が長い時間流れる連続電流と呼ばれるものがあり、それを受けた場合、深い熱傷を起こしてしまいます。
また、可燃性の衣服を着用の場合は中等程度以上の深さとなる可能性があります。
落雷による熱傷では、皮膚表面を電流が流れることによる電紋(でんもん)と呼ばれるシダの葉のような模様が現れます。
③意識障害
落雷の電流が頭部を流れることによる、一過性の意識障害(一時的)がよく見られます。
④鼓膜穿孔(こまくせんこう)
一般に「鼓膜が破れた」と言われる状態で、よく見られます。
原因として、間接的な爆風、熱傷、音響外傷、電流の直接作用などが挙げられます。
<その他>
神経痛や知覚異常などの訴えが長引く例がありますが、多くの症状は初期に重症感があっても、治療により回復します。
後遺症や症状が長引いた後に死亡することも稀に起こるため、どんな状態でも十分な経過観察が必要なのです。
2.電気を通さなければ「安全」というわけではない!?
落雷に関する十分なデータがなかった時代では、金属製品を身につけていると落雷に遭いやすいという間違った認識が一般的でした。
これは、落雷で死亡した人が身に着けていた金属が溶けていたり、金属に触れている部分の皮膚が著しい熱傷を負っていたことから生じた誤解です。
現在では、身につけた金属製品には、人体を流れる電流値を減らす一定の効果(=ジッパー効果)があることが、事故の実例や実験により確かめられています。
ただし、傘やゴルフクラブなどを頭より上に掲げることは、雷を誘引するため論外です。
同じく、身につけた長靴やレインコートなどのゴム製品に安全効果があるというのも間違った認識です。
雷の高電圧に対し、ゴム製品の絶縁効果は皆無であることが確認されています。
これは知らんかったわ!
3.もしもの時は・・・
【救命処置の実施】
落雷死亡事故のほとんどが、心肺停止による即死ですが、心肺蘇生法の実施が早ければ早いほど、救命の可能性が高まり、また救命された場合に重大な後遺症を残す危険性が低くなります。
即座に心肺蘇生法を開始し、絶え間なく継続することが重要です。
【熱傷の手当】
落雷による熱傷は、ほとんどの場合は浅く、治療により完治します。
◆水道水で痛みが取れるまで冷やす
◆衣類を脱がさず衣類の上から冷水をかける
◆水ぶくれはつぶさず、清潔な布で覆って冷やす
雷が危険だってよくわかったで!
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